神戸地方裁判所 平成6年(行ウ)2号 判決 1997年6月30日
神戸市東灘区青木六丁目七番一六号
原告
豊栄興産株式会社
右代表者代表取締役
権藤浩一
右訴訟代理人弁護士
水野武夫
同
篭池信宏
兵庫県芦屋市公光町六番二号
被告
芦屋税務署長 稲田宜治
被告指定代理人
恒川由理子
同
長瀬顕
同
廣瀬彰四郎
同
北畠昭二
同
寺嶋芳朗
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一請求
一 被告が原告の昭和五九年四月一日から同六〇年三月三一日までの事業年度(本件で問題となる原告の事業年度は、いずれも各暦年の四月一日から翌年の三月三一日までであるので、以下、当該事業年度の終了年月に従って「昭和六〇年三月期」などという。)の法人税について同六三年八月二日付けでした更正処分のうち所得金額五五四五万三五七一円、同所得金額を基礎として算出される納付すべき税額を超える部分及び重加算税賦課決定処分のうち、右所得金額を基礎として算出される税額を超える部分をいずれも取り消す。
二 被告が原告の昭和六一年三月期の法人税について同六三年八月二日付けでした更正処分のち所得金額二億〇七七五万二四一九円、同所得金額を基礎として算出される納付すべき税額を超える部分及び重加算税賦課決定処分のうち、右所得金額を基礎として算出される税額を超える部分をいずれも取り消す。
三 被告が昭和六三年八月三日付けで原告に対してした同五九年四月分から同六二年三月分までの別表一の1ないし3記載の源泉徴収に係る所得税(以下「源泉徴収所得税」という。)の各納税告知処分及び各不納付加算税賦課処分のうち、昭和六〇年三月期については所得金額五五四五万三五七一円を基礎として算出される額を超える部分、同六一年三月期については所得金額二億〇七七五万二四一九円を基礎として算出される額を超える部分をいずれも取り消す。
第二事案の概要
一 本件は、被告が原告の所得税額の算定に当たり、原告の公表帳簿に計上されていない資産及び負債を、当時の原告代表者個人に帰属するものとしたうえ、同人の資産からその負債を控除した額である増加額のうち、同人の収入と支出の差額を上回る金額を原告の売上除外の金額と認定し、これに基づき原告の所得金額を算出したところ、原告が、被告の右原告代表者の個人資産の認定には一部把握漏れがあり、その結果、原告の売上除外金額を過大に認定した違法があるとして、法人税更正処分等の取消しを求めている事案である。
二 争いのない事実等
1 課税の経緯等
(一) 原告は、神戸市東灘区、西宮市、尼崎市及び明石市においてパチンコ店四店舗を経営している株式会社である。
(二) 原告の昭和六〇年三月期及び昭和六一年三月期(以下、右各事業年度を併せて「本件係争事業年度」という。)の法人税に係る原告の青色申告書による確定申告及びこれに対する被告の更正処分(以下「本件更正処分」という。)等の経緯は、別表二記載のとおりである。
(三) また、被告は、別表二記載の各更正処分等に関連して、昭和六三年八月三日付けで、昭和五九年四月分から同六二年三月分までの源泉徴収所得税について、別表一の1ないし3記載のとおり、納税告知をすると共に不納付加算税の各賦課決定処分を行った。この処分についても、(二)の各処分と同様に、原告の異議申立て、同申立てを棄却する旨の被告の決定、原告の国税不服審判所長に対する審査請求及び同審査請求を棄却する旨の同所長の裁決がなされている。
(四) なお、原告及び当時の原告の代表取締役權道榮(以下「道榮」という。)は、本件係争事業年度及び同六二年三月期の法人税に関し、法人税法違反で神戸地方裁判所にそれぞれ起訴され、平成三年四月二五日、同裁判所において、原告は罰金八〇〇〇万円、道榮は懲役二年、執行猶予五年の各有罪判決を受けたが、これらの裁判はいずれも同年五月一〇日に確定した(以下「別件刑事事件」という。)。
2 本件更正処分の経緯
(一) 所得金額の算定
(1) 原告は、本件係争事業年度において、パチンコ店の営業に係る日々の売上金額の一部を公表帳簿に計上することなくこれを除外し、これらの売上除外金を道榮の個人資産と混同していた。そこで、被告は、原告に係る本件係争事業年度の資産及び負債のうち、公表帳簿上に計上されていない資産及び負債は道榮個人に帰属するものとしたうえ、同人の資産から負債を控除した額である増加額(道榮の純資産増加額、以下「純資産増加額」という。)のうち、同人の収入と支出との差額を上回る金額(道榮の可処分取得金額)を原告の売上除外金と認定し、これに法人税法及び租税特別措置法の規定に従い、損金の額に算入又は算入されない金額を加算、減額して得られた金額と、原告の確定申告ないし修正申告による所得金額とを加算し、もって、原告の本件係争事業年度の所得金額を算出した。道榮の資産及び負債の状況は、別表三記載のとおりであり、右所得金額計算の内訳は、別表四記載のとおりである。
(2) 右所得金額の計算については、同表<1>ハ、すなわち、道榮が、昭和五九年三月三一日現在において、信用組合京都商銀(以下「京都商銀」という。)に対して、別表五記載のとおりの架空名義の定期預金二七口、合計金一億七三九七万八九三三円(以下「本件預金」という。)を有していたにもかかわらず、被告は、この預金の存在を把握しておらず、その結果、原告の売上除外金額を過大に認定したか否かを除いては、当事者間に争いがない。
(二) 所得税額及び重加算税額の算定
本件更正処分における所得税額及び重加算税額については、原告の昭和六〇年三月期の法人税につき、本件預金の解約金相当額一億六一七四万七二四〇円(別表五番号1ないし26の合計金額)を控除した金額である五五四五万三五七一円及び原告の昭和六一年三月期の法人税につき、本件預金の解約金相当額一二二三万一六九三円(別表五番号27の金額)を控除した金額二億〇七七五万二四一九円をそれぞれ基礎として算出される納付すべき税額を超える部分を除いては、その認定の経過及び計算方法も含めて、当事者間に争いがない。
3 納税告知処分及び不納付加算税賦課決定の経緯
(一) 被告は、納税告知処分における役員報酬の算定について、前記原告の売上除外に係る金額(別表四の<11>の「差引合計金額」欄)すべてにつき、これを道榮個人に対する貸付金と認定し、別表六記載のとおり、各事業年度の同人に対する期首貸付残高から期末借入金残高を控除した金額と期末貸付金残高から期末借入残高を控除した金額(ただし、借入金は貸付金の範囲内で控除する。)との合計額の二分の一相当額(期中平均残高)に一〇パーセントの利率を乗じて算出した利息を、同人に対する経済的利益として、これを役員報酬と認定した。
(二) 被告は、納税告知処分に係る源泉徴収所得税が法定期限までに納付されなかったことについて、国税通則法六七条一項ただし書きに規定する正当な理由がある場合に該当しないとして、同条一項本文に基づき、別表一の1、2の記載のとおり、不納付加算税賦課決定処分をした。
(三) これらについては、前項と同様に原告の売上除外金額を過大に認定した結果、役員報酬や不納付加算税を過大に認定しているか否かを除いては、その計算方法も含めて当事者間に争いがない。
三 争点
1 本件預金が本件係争事業年度の期首時点において道榮個人に帰属する定期預金として存在していたか
2 本件預金が本件各事業年度中に解約されているか
3 解約された本件預金が消費されたりすることなく、道榮個人の期首時点の資産として現存し、これが被告により道榮個人の資産として計上されているか
四 争点1、3についての当事者の主張
1 争点1について
(原告の主張)
(一) 本件預金の原資は、道榮が株式信用取引の損失に充てる必要があったこと等の理由により、手持ちしていた五、六〇〇〇万円ないし二億円程度の現金である。
(二) また、本件預金は、いずれも道榮が現金で預け入れたものであり、京都商銀が預け入れの際に現金と引き替えに発行した仮預り証も、道榮が受領していた。この仮預り証には、受取金額、日付、担当者の氏名の外、道榮の宛名が記載されていた。右現金の授受の際には、京都商銀の本店営業部長であり、かつ専務理事でもある裵宝孝がこれに立ち会っていた。
道榮が預け入れた預金は、京都商銀において、数口の架空名義の預金に分割され、この預金について、後日、前記の仮預り証と引換えに預り証又は預金証書との切替えがなされたが、これらの仮預り証、預り証、預金証書及び印鑑は、いずれも道榮が保管していた。
(三) 本件預金の解約金は、道榮が預り証あるいは預金証書及び印鑑と引換えに現金をもって受領していた。
この解約の際には、京都商銀から元利計算書が交付されたが、道榮は、現金受領後、これを破棄しているため現存しない。
(四) 預金の帰属は、一般に金員の出所、預金手続等の行為者、預金証書及び印鑑の管理状況、関係者の認識等の諸点を総合して決せられるものであるところ、右に述べたように、本件預金は、道榮の手持ち現金を原資とするものであり、同人において預け入れ及び解約手続きをなし、預金証書及び印鑑ないしこれに代わる仮預り証、預り証を保管していたものであるうえ、京都商銀の側でも、道榮に帰属する預金として認識管理していたものであるから、本件預金は道榮に帰属するものである。
2 争点3について
(原告の主張)
(一) 本件預金が期中に解約されれば、期末には、本件預金に代わる資産が別の勘定科目に把握計上されるところとなり、これによって本件預金の価額分だけ純資産増加額が過大に算定されることになる。
この理は、本件預金あるいはこれに代わる資産が消費された場合についても同様である。
したがって、解約された本件預金が消費されたか否かにかかわらず、本件預金の解約に係る価額分については、純資産増加額が過大に算定されることとなるから、原告は、解約された本件預金が消費されたりすることなく、道榮個人の期末時点の資産として現存したことを主張立証する必要はない。
(二) そもそも本件更正処分における被告の本件所得金額算定の合理性、すなわち、本件係争事業年度の期首及び期末における道榮の資産、負債の各項目の金額等、資産負債増減法による当該算定の基礎となる事実の正確性は、被告において主張立証すべき事項である。
したがって、本件預金の解約による資産が被告により道榮個人の資産として計上されていることを原告が主張立証する必要はない。
(被告の主張)
解約された本件預金が消費に回されたり、被告が把握していない資産の取得に充てられたりすれば、本件預金の存在は、原告の売上除外金の算定には何の影響も及ぼさないことになる。
したがって、原告において、解約された本件預金が消費に回されたり、被告が把握していない資産の取得に充てられることなく、道榮個人の期末資産として現存し、これが被告によって資産として計上されていることを主張立証する必要があるところ、原告はこの点につき何ら主張立証を行っていない。
第三争点に対する判断
一 争点1について
原告は、本件預金は道榮の手持ち現金を原資とし、同人において預入、解約の手続きをなし、預金証書や仮預り証等を同人が保管していたうえ、京都商銀側でも、道榮に帰属する預金として認識保管していた旨主張するので、以下これらについて検討する。
1 本件預金の原資について
原告は、本件預金の原資は、道榮が常時所持していた五、六〇〇〇万円から二億円の手持ち現金であり、右手持ち現金の存在は甲四(査察官調査書)に道榮の数千万単位の出金が記載されていること等により裏付けられる旨主張する。
しかしながら、道榮の手持ち現金の額やその保管場所についての供述は、別件刑事事件(乙二)や本件訴訟において変遷しており信用できないうえ、甲四は、昭和五八年四月以降の五〇万円以上の道榮の金銭の出入りを記載しているにすぎず、これによって原告の保有する現金総額が明らかになるわけではないから、甲四の記載を根拠に道榮が五、六〇〇〇万円から二億円程度の手持ち現金を所持していた事実を認めることはできない。
他に、本件預金の原資が道榮の手持ち現金であることを認めるに足りる証拠はない。
2 本件預金の預入及び解約手続きについて
原告は、本件預金の預入、解約の手続きを道榮がしたと主張し、道榮も、本件預金の現金の授受は必ず自ら行った旨供述するが、右供述は、本件預金の実務的な手続きは殆ど弟の權道正(以下「道正」という。)が行ったとの別件刑事事件の公判廷における供述(乙四、五)と明らかに矛盾するものであり、信用できない。
3 本件預金の帰属について
本件預金が道榮に帰属することを裏付ける証拠として、甲一の1ないし27、二及び証人權道榮の証言(甲三の陳述書を含む。以下同じ。)が存在するので、以下これにつき検討する。
(一) 甲一の1ないし27について
原告は、本件預金解約時に、京都商銀が道榮に対して発行した利息計算書を、京都商銀が再発行したものであり、右計算書は、京都商銀が帳簿その他の内部書類に基づいて作成したものであるから、その内容については信用できる旨主張する。しかしながら、甲一の1ないし27は、いずれも京都商銀の西陣支店及び本店営業部が各記載の名宛人宛に発行した預り金及び利息金の計算書であり、これによって証明されるのは、各計算書記載の日に名宛人名義の預金及び解約がなされた事実だけである。
したがって、甲一の1ないし27をもって、本件預金が道榮に帰属するとはいい得ない。
(二) 甲二について
原告は、甲二につき、道榮の依頼により、京都商銀の裵宝孝が作成したもので、本件預金が道榮によって預入、解約されたものであり、同人の預金であることを証明するものである旨主張する。しかしながら、
(1) 甲二は、道榮が、京都商銀本店営業部長裵宝孝に対して、甲一の1ないし27記載に係る本件預金が道榮に帰属する仮名預金であることの証明を求める文書中に、「上記の通り相違ないことを証明いたします。」と記入され、京都商銀本店営業部長裵宝孝名義の押印がなされたものにすぎず、京都商銀が自ら、当該預金が道榮に帰属する仮名預金であることを証明する旨記載した文書でない。そして、右預金が道榮に帰属する仮名預金であることを示す客観的根拠は、何ら示されていない。
(2) また、甲二には、「上記仮名預金つきましては、すべて私の責任による行為であり、貴組合の証明書発行により、後日、問題が生じても、貴組合には、一切、御迷惑はおかけせず、私の方で責任をもって処理することを誓約申し上げます。」との道榮名義の文言が記載されており、京都商銀はその記載内容につき責任を負わないこととなっている。
(3) さらに原告は、甲二の作成経緯について、平成三年二月ころ、国税不服審判所長に対して審査請求をするに際して作成された旨主張し、道榮も同様の供述をするが、甲二の作成日付は、一九九三(平成五)年二月となっており、右審査請求の日が平成元年六月一二日(乙一)であることからすると、右供述も信用し難い。
(4) かかる事実を総合すれば、甲二によって、本件預金が道榮に帰属するとは認められない。
4 証人權道榮の証言について
(一) 証拠(乙一ないし五、六の1、2)によれば、道榮は別件刑事事件起訴(昭和六三年七月一二日)前日の検察官の取調べに対し、当時捜査機関に把握されていた大阪興銀外四行に預金した架空預金以外には、架空名義の預金はない旨明言していたこと、道榮は、右捜査時や本件更正処分に関する大阪国税局査察部(以下「査察部」という。)の強制調査(以下「本件強制調査」という。)及び異議審理時におては、本件預金が存在することを明らかにせず、右刑事事件の起訴後二年八か月後の第一〇回公判において、初めて京都商銀作成の定期預金一覧表(乙六の1)及び定期預金明細表(乙六の2)(以下併せて「定期一覧表」という。)を提出し、本件預金のうち二二口の存在を主張したこと、そして本件に関する審査請求の際、定期一覧表に記載されていない別の五口の架空名義の預金が存在することを主張するに至ったことが認められるところ、かように架空名義預金の口数及び金額に関する道榮の供述は二転三転しているのみならず、五口の架空名義預金が判明した経緯について何ら合理的な説明をしていない。
(二) 道榮は、本件預金の存在を当初秘匿していた理由として、本件強制調査の約二年前に道正に対して行われた査察部の強制調査の処分が未確定であったため、本件預金の存在を明らかにすると、道正に対して刑事処分が行われる恐れがあったためである旨供述する。
しかし、乙一〇によれば、道正に対して強制調査が行われたのは、昭和五九年五月ころであり、右調査は、道榮に対して強制調査が行われた昭和六二年一〇月六日及び同六三年六月二二日より前である同六二年四月にその処理が終了した事実が認められるから、右供述は客観的事実に反するものである。
また道榮が右道正に対する処理が終了していた事実を知らなかったとしても、道正に対する強制調査が行われたのは、道榮に対する最初の強制調査が行われた時より二年五か月も前のことである。道榮は、本件強制調査後、逮捕、勾留、起訴され、実刑判決を受ける可能性も充分あった。このような状況の中で、本件預金の存在を明かしたことによって道正に対して刑事処分が行われるか否かも明らかでないにもかかわらず、未だ逮捕もされていない道正を庇って、自己に有利な事実をあえて秘匿したとは到底考えられない。
さらに、道榮は、別件刑事事件の捜査時に検察官に対して本件預金の存在について述べたにもかかわらず、これを取り上げてくれなかった旨供述しているが、これは同人の前記弁明及び別件刑事事件の公判廷における供述(乙四)と矛盾するものである。
(三) 道榮は、甲一の1ないし27(以下「利息計算書」という。)と同一内容の書類は別件刑事事件の時点においても存在し、これらは公判廷に証拠として提出される筈であったのに、弁護士の不手際で自己の意に反して提出されず、また定期一覧表も罪体争う証拠として提出するよう弁護士に指示したが、情状証拠として提出されたため弁護士全員を解任した旨供述する。
しかしながら、右利息計算書と定期一覧表は内容が異なっており、別件刑事事件で利息計算書が存在していたのであれば、これを集計した書類は定期一覧表とは異なる内容になるはずである。のみならず、証拠(甲五、乙七の8ないし12)によれば、定期一覧表は、平成三年三月七日に行われた第一〇回公判期日に証拠請求されているところ、道榮が弁護人を解任したのは、平成二年一月六日の第八回公判期日より前のことであり、その後は判決言渡しまで弁護人の異動がないことが認められる。
したがって、道榮の右供述は、客観的事実に反するものであり採用できない。
(四) 以上で検討したように、道榮の供述は、別件刑事事件における供述や他の証拠により認められる客観的事実と矛盾する等、不自然、不合理な点が認められ、採用できない。
5 以上により、本件預金が道榮に帰属することを裏付ける証拠は、いずれも信用できず、他に本件預金が道榮に帰属することを認めるに足りる証拠はない。
第四本件各処分の適法性
一 以上説示のとおり、本件預金が本件係争事業年度の期首時点において道榮に帰属することは認められない。
そして、本件更正処分のうち、原告の所得金額及びこれに対する所得税額については、認定の経過や計算方法も含めて当事者間に争いがないから、原告の所得金額及びこれに対する所得税額は、別表二記載のとおりとなる。
また、前記認定の事実によれば、原告は本件係争事業年度の売上金額の一部を不正な手段により隠ぺいしたことが認められるところ、本件更正処分のうち、本件重加算税賦課決定処分についても、認定の経過や計算方法は当事者間に争いがないから、原告の重加算税額は、別表二記載のとおりとなる。
したがって、本件更正処分は適法である。
二 本件納税告知処分及び本件不納付加算税賦課決定処分についても、その認定の経過及び計算方法は当事者間に争いがなく、納税告知処分に係る源泉徴収所得税が法定期限までに納付されなかったことについて正当な理由があるとは認められないから、原告の納税告知額及び不納付加算税額は、別表一の1ないし3記載のとおりとなる。
第五結論
よって、その余の点について判断するまでもなく、本件各処分は適法であり、原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 將積良子 裁判官 桃崎剛 裁判官下村眞美は転官のため署名押印することができない。裁判長裁判官 將積良子)
別表一の1
<省略>
別表一の2
<省略>
別表一の3
<省略>
別表二
課税の経緯
<省略>
別表三
權道榮の資産及び負債の状況
<省略>
別表四
原告の所得金額計算内訳
<省略>
別表五
京都商銀解約預金一覧表
(西陣支店分)
<省略>
(本店分)
<省略>
別表六
役員報酬認定金額の計算内訳
<省略>